京芸ファイル212:2021年度京芸入試速報 ◆ 京都アートスクール

FILE 212 ・2021年度京芸入試速報

立体

■問題概要

与えられた白・黒・グレー・銀の厚紙を材料に、「陰影」
をテーマとして、下記の条件に基づいて立体表現しなさい。

  • ・条件 ※一部抜粋
  • 1.解答作品には解答用材料として、白・黒・グレー・銀の厚紙を使用しなさい。接着固定材料として木工用速乾接着剤、仮止め用紙粘着テープのみを使用しなさい。
  • 2.支給された解答用材料は全種類を必ず使用すること。ただし材料はすべて使いきらなくてもよい。
  • 3.解答作品は解答用台の上に設置すること。
  • 4.仮止め用紙粘着テープはすべて外すこと。
  • 5.解答作品は解答用台(35㎝×35㎝)をはみ出さず、また高さ35㎝からはみ出さないこと。
【支給されるもの】
 
解答用材料
:白・グレー・黒厚紙各2枚ずつ、銀厚紙1枚
解答用台
:茶色段ボール1枚(35cmX35cm)
移動用カバー
:茶色段ボール箱1個、カバー固定用テープ2枚
制作支援用品
:灰色ボール紙1枚40cmX55cm(作業用)、上質紙3枚(アイデアスケッチ用)
接着材料
:木工用速乾接着剤1個、紙粘着テープ1巻
カラーカード1枚

■解答用材料

■問題のポイント

テーマの「陰影」と与えられたモノトーンの厚紙が、出題の意図と問題なく結び付きやすいことが特徴です。
「陰影」→「明暗」→白、灰色、黒というように、多くの受験生が読み取ったと思います。
ただし、テーマと素材が結びつきやすい出題であったからこそ、日常的な「陰影」というテーマに対する深い観察と、多様な発想が問われていたのだと、出題者の意図を読み解く事が出来ます。

「陰影」とは一般的に「かげ」や「暗い部分」等の意味がありますが、陰と影の二つに分けて考える事も可能です。
「陰(shade)」……物体がその内側に宿すかげ
「影(shadow)」……物体が他のものに落とすかげ

テーマ「陰影」を、一般的な「かげ」や「暗い部分」として捉える事も可能ですが、「陰と影」の二つに分けて解釈し、作品上で表現する事も可能であったと考えられます。
どちらにせよ、与えられた材料を用いて、モノトーンの関係性から如何に「陰影」を感じさせる立体表現ができるかが問われています。
銀の厚紙は他の厚紙とは性質が異なるため、「銀の厚紙をどのように扱うか」もポイントだといえるでしょう。
陰影は光が立体物に当たる事で生じる現象です。銀の厚紙は陰影を生み出す光源のようなものとして設定し、「物語性」を作品に組み込む事が期待されたのだと思われます。

       
R02025
立体課題文

銀紙が素材として与えられ、光が生み出す現象を表現する課題として、京都アートスクールの対策課題から、類似課題「テーマ:照明器具 /モチーフ:白色電球」の課題を例に挙げます。
素材には白色電球1個、四つ切バロンケント紙 2枚、八つ切ミラーペーパー 1枚、A2トレーシングペーパー 1枚が与えられています。
照明器具としての機能性を組み込んだ造形を作るだけでなく、反射、映り込み、透過等の現象が現れる2種の面材(銀紙やトレーシングペーパー)を、光そのもの、あるいは光が生み出す明暗の表現として効果的に用いる事が問われた課題でした。

   
19-20・冬期・京都市立芸術大学実戦実技模試
立体課題文

「立体構成」の本質にある事柄は「立体」と「空間」です。
どのようなテーマ・条件・素材の課題であっても、「作られた立体自体の美しさ」、そして、「その立体をとりまく周囲の空間を演出(可視化)する事が求められます。
ただし、今回のようなテーマに於いては、規定のサイズの枠にとどまる事なく、むしろその枠を超えた「立体のスケール」を設定する事が問われます。
京都アートスクールの類似課題「情景」を例として紹介します。
情景というテーマは、「風景」と「情緒」の二つに分けて考える事が出来ます。
この課題ではまず、ランドスケープ的な視点で、かなり広大なスケールを、作る立体に設定する必要があります。また、日常から常に目にしている「風景」というものが内在している造形要素を、丁寧に観察し、掴み取る事が必要でした。そのうえで、情緒という目に見えない感覚をいかに造形要素として作品に組み込んでいく事ができるかが問われます。
日常でみられる様々な事例に目を向け、コンセプトをつかみ取る、観察力や発想力が必要となります。

       
20-21・直前・京都市立芸術大学実戦実技模試
立体課題文

与えられたテーマと素材に密接な関係を設定し、「物語性」を作品に組み込む事が必要な課題、そして、白い厚紙と黒い厚紙の2種の素材が与えられた課題として、今年度の直前実戦実技模試にて出題された「『共存』、『潜在』、『予感』」を例として紹介します。
このような出題では、2種の固有色の違いを、単に見栄えを良くする為の視覚的な効果にのみ用いるだけでは、解答としては不十分です。
『これまで白の中に「潜在」し、「共存」していた黒との関係、その関係性が崩壊し、黒が白を浸食していく予感がする』など、意味的な関係性を明確に打ち出し、物語性を作品に与える事が重要になります。

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