京芸ファイル212:2021年度京芸入試速報 ◆ 京都アートスクール

FILE 212 ・2021年度京芸入試速報

描写

■問題概要

与えられた紙袋組み立て式透明ケースりんご玉ねぎを台紙上に配置し、
鉛筆で描写しなさい。

  • ・条件
  • 1.与えられたすべての対象物を描写すること。
  • 2.対象物は切る、破るなど、破損をともなう加工をしないこと。
  • 3.組み立て式透明ケースは、試験開始後に監督者の指示に従って組み立てること。
      ただし、ケースの開閉は自由とする。

■モチーフ

■問題のポイント

構成・構図

今回のモチーフは一見オーソドックスな出題であり、構成・構図ともに、そこまで難易度が高い出題ではなかったと言えます。
構成においては、大きく2つのポイントがあります。
一つ目はモチーフのサイズとプロポーションです。
静物デッサンの構成では、個々のモチーフのサイズ、プロポーションの違いが構成の手掛かりとなります。
その点で今回のモチーフは「透明ケースと紙袋」、「リンゴと玉ねぎ」のサイズやプロポーションが似ていた為、ややもするとかなり単調な構成に陥ってしまうことが考えられます。
「主役/脇役」、「奥行を演出するモチーフ/高さを演出するモチーフ」等の役割を、作者が明確に設定する事が構成に於いて必要となりました。
2つ目のポイントは透明ケースの材質感の演出です。透明なモチーフの表現は、周りの状況や、中に入っているもの、奥に透けて見えているものなどを利用して描くことが大きな手助けになります。
透明ケース中にリンゴや玉ねぎを入れる等し、透明ケースを表現しやすくなるような構成が望ましいです。
その他に、紙袋は「普通に配置する/膨らませて配置する」等の選択肢があります。
また、紙袋、透明ケースともに「寝かせる/立てる」の選択肢がありました。
構図に於いては、縦構図/横構図どちらの可能性もありえたモチーフです。
一件オーソドックスなモチーフの出題でしたが、構成・構図に於いて実に多種多様なバリエーションがありえたと考えられます。
だからこそ、作品の完成度を高める為には、 作者自身の明確な狙いが必要となった出題であると感じます。

モチーフ構成例
横構図の例
縦構図の例

描写に於いては、基本的な観察力と表現力が強く問われました。


特筆すべきは、透明ケースの描写です。
透明モチーフには、透明感や映り込み等の「現象」の描写と、箱型としての「構造」の描出の両方が必要です。「材質感と立体感」を画面上でいかに共存させる事が出来るかに、作者の力量が現れます。
また、透明ケースの中に玉葱やリンゴを入れた場合、「中に入っているモチーフの存在感」と「透明モチーフ自体の存在感」の両立が問われます。
透明モチーフの表現には、作者の鉛筆デッサンに於ける習熟度が色濃く現れるものです。
その他の紙袋、玉葱、りんごは、卓上デッサンとしては非常にオーソドックスなモチーフであったと言えます。ただし、描き慣れたモチーフだからといってそれぞれのモチーフを丁寧に観察することを怠っていけません。
「対象に興味を持って丁寧な観察にもとづいた正確な描写をしているか」が評価されると考えて問題ないでしょう。


アスクでの参考課題と作例
課題例 R05025
課題例 R05052
課題例 R05037
20-21・冬期・京都市立芸術大学実戦実技模試
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