FILE 211 ・京芸入試直前「ラスト1週間の課題」
2.入試前日まで 実技の最終調整
ラスト1週間。まず肝に銘じておいて欲しいのは、「油断と焦りは禁物」、そして「無理はもっと禁物」ということです。
油断していると本番が近づくにつれて焦りが出てきがちです。焦ると浮き足立ってしまい、集中力を失います。その結果、最終盤に無理をするようなことになれば、入試当日に体調を崩してしまう可能性も。それだけは絶対に避けなければなりません。
「ここまで、できるだけのことはしてきた」という強い信念を持ち、「油断せず」「焦らず」「無理をせず」、最終調整を淡々とこなしていきましょう。
■現状の確認
直前講習で制作した作品(直前模試を受験した生徒は、模試作品とその得点)を振り返り、「必ず修正しなければならない問題点」と、「さらに強化するべき自分のアピールポイント」をピックアップします。
■最後にできること、するべきことの確認
入試当日までの対策課題数を明確にし(描写、色彩、立体を、それぞれあと何回制作できるかも含め)、その中で「今からでも修正できること」「優先的にするべきこと」を整理しましょう。限られた時間の中では、できることにも限界があります。欲張り過ぎず、ポイントをしぼって修正や強化を行うべきです。
■合評時に確認
入試本番で確実に最終調整の成果を発揮するためには、一つひとつの対策を整理・確認しておく必要があります。
昨年度現役生の描写を例にとって、自分の今の状況を各実技の評価項目に当てはめて考えてみましょう。
描写
→ラスト1週間の最終調整→ | ||
現状の確認
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できること、するべきことの確認
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合評時に確認
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■実技の最終調整(描写)
直前模試以降の対策で得点アップした例を紹介します。
◆20年度 美術科合格 Aさん(七条校 現役生)の場合
104/250 |
ラスト1週間の最終調整→ 66点アップ |
170/250 |
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目標
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(解説)
高校3年生になってから実技対策を本格的に始め、実技力を着実に伸ばしていったAさん。当初は100点を獲得するのも難しい状態でしたが、夏期・冬期の模試を経験して成長し、直前模試では100点を超え、最終調整後の入試本番では170点(6割以上)を獲得して合格しました。
Aさんは描写の基本である「構図と構成の重要性」を常に意識していましたが、「高く評価される構図・構成」を自分自身で選択できるようになるまでに時間がかかりました。しかし、これは、Aさんに限ったことではありません。全ての受験生において、「自分自身で的確な構図・構成を選択できる」ようになるまでには、時間がかかります。Aさんはそのことを十分に認識し、直前講習中も常に基本を確認しながらコツコツと課題に取り組み続けた結果、入試本番では身についた力を発揮することができ、見事に合格を果たしました。
◆20年度 美術科合格 Bさん(北大路校 現役生)の場合
150/250 |
ラスト1週間の最終調整→ 90点アップ |
242/250 |
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目標
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(解説)
1年生から実技対策を開始し、実技力には自信のあったBさん。直前模試の段階では、描写力も高卒生に引けを取らない程のレベルに成長していました。しかし、京芸入試ではさまざまな状況の中での対応力が必要となります。Bさんは模試を受けるたびに、「状況に対応して最善の判断をすることがいかに難しいか」を痛感していました。そこで最後の対策では、構図と構成についての理解を再度深め、導入がない状況での対応力を強化することに努めました。その結果、入試本番では構図と構成を的確に判断することができ、現役生でありながら満点に近い高得点を獲得することができました。的確に問題点を見つけ出し、実技対策を重ねれば、現役生でも200点を超える高得点を獲得して合格することは可能です。しかし、そのためにはやはり、他の受験生の作品を多く見ることのできる講習や模試への参加が必要不可欠だといえるでしょう。
◆20年度 美術科合格 Cさん(NET生 現役生)の場合
164/250 |
ラスト1週間の最終調整→ 68点アップ |
232/250 |
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目標
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(解説)
NET通信実技コースで実技対策を行ってきたCさん。現役生の中でも実技レベルが高い生徒の一人でした。
Cさんは「構図・構成の的確な判断」には問題がないものの、「製作スピードが上がらず、作品の完成度が低く見えてしまう」という問題を抱えていました。そのため、制作スピードが上がるようにタイムテーブルを見直し、とにかく手を早く動かすことを意識して、直前講習の最後の対策に取り組みました。入試本番では「紙風船の表情」や「コーラの瓶の表情」など、変化が多く描き込みに時間のかかるモチーフが出題されましたが、制作スピードを強化することで描き込みの密度が上がっていたため、9割を超える高得点を獲得し、見事に合格することができました。
- 1.2021年度京芸入試情報 出願状況
- 2.入試前日まで 実技の最終調整
- 3.入試前日まで 用具の準備と確認
- 4.入試当日 心構えと注意点